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2013年2月23日 (土)

CFRP

日々、CFRPなんてものと付き合っているのだけれど。
こいつが電気関連と、えらく相性が悪く、悪戦苦闘の日々。
金属とプラスチックの、ダメなところだけ集めた感じ。

まず、強度と剛性の比率が悪すぎる。
確かに強度はすごい、強度は。
引っ張りだけね。
折れたりはしないのだけれど、グニャグニャだ。

逆に、必要な剛性をもつほどの厚さの板は、とてつもない強度だ。
で重さは、アルミとさほど変わらなかったり。

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導体とも絶縁体ともいえない、微妙な感じも厳しい。

接点などに対し、ちゃんと絶縁しないと危険なくらいは抵抗値が低いのだけれど、積極的に電流を流せるほど抵抗が低くないし、金属との接触抵抗は非常に大きい。(数~数十Ω)

ショート事故の時、接触部分のほうがヒューズよりもかなり抵抗値が大きいので、電力用の安全装置が利きにくい。
そのときカーボンの部分はともかく樹脂部分が熱に弱く、接触部分の発熱で樹脂が発火発煙し、広範囲にダメージが及ぶ。

導電体として、せいぜいシールド効果を期待するくらいなのだけれど、それ自体に良好なアースが取れない(異方性もある)ので、あまり意味はないかも。

電気が流れるのか、流れないのか、はっきりして欲しいものだが。

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材料として、強度は鉄以上なのだけれど、やっぱりプラスチックなので、意外に簡単に削れて粉になってしまう。

この粉が、また厄介なもので、まずは導電性がある上に、粉自体は硬い(研磨されない)カーボンなので、せまいところに入り込み、研磨剤のように相手をどんどん削ってしまう。
電気接点の天敵だ。

電気以前に、この粉、体に非常に悪そうだ。

作業していると露出している肌がちくちくする。
人によっては、アレルギーのように一面発疹したりする。
防塵マスクをしても、防ぎきれている感じがしない。

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基本的に金属素材との共用は色々難しい。
熱膨張率とか色々。

特にねじ要素との相性が悪いのはつらいところ。
基本プラスチックなのでねじを切れない。
ねじをきりたいならば、予め金属部分を仕込んで成型し、そこを機械加工する。
形を作ってしまってからでは、どうにもならない。

圧縮せん断には強度がないので、ボルトナットなどで締め付けると、どんどん座屈してつぶれてしまう。


CFRPの基本は、すべて接着で組み立てるのが理にかなっているようだ。
しかしあとで分解できるようにしたいとか、金属加工部品と組み合わせて使いたいなど、ねじの要望は強い。


で、なんとかねじを使おうとして、CFRP側にはプレートナットがよく使われている。
それでも座屈して強く締め付けられないので、緩まないようにセルフロックナットのプレートナットをリベット止めしている。
そのため、締め付けトルク管理もできない。どこもオーバートルク気味だ。

セルフロック相手なので、鉄ねじがデフォルトで、やわらかいブラスねじが使えない。
で、セルフロックでない普通のねじ部分にも鉄ねじが使われてしまって、ねじ山の痛みが早い。

普通はセルフロックナットなんて、激しい温度サイクルのところとかに仕方なく使うものであって、デフォルトがこれって言うのは、なんか間違っているよなあ...
M2のセルフロックナットなんて、どうなのこれ...

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CFRPは、大雑把に言えば、カーボンクロス(プリプレグ)を型紙に合わせ切り抜いて、それを型に貼り込んで何枚も積層し、釜で加熱して成型(硬化)した後に、端の余分な部分を切り取って完成する。

工程を見ると、金属のような 鋳造、プレス、切削、研磨というものとはかけ離れている。
どちらかというと、縫製品に近い感じがする。

電気を中途半端に通す縫製品のようなもので、電気や他の機械要素との相性の悪さはどうしようもないところ。
何でもかんでもCFRPってのは、無理な話なんだよなあ。


話題性、という意味では価値があるのかもしれないけど...

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